【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「君を死なせてしまったあの日、ここで願い事をしたのを覚えているか?」


 リヴェルトが言う。ユレイヤはすぐに「ええ」とうなずいた。
 忘れるはずがない。あの日ユレイヤは神に「夫婦としてやり直したい」と願ったのだから。


「俺はあの時、ユレイヤと夫婦としてやり直したいと神に願ったんだ」

「え……?」


 リヴェルトがゆっくりと顔を上げる。ユレイヤの瞳から涙がこぼれ落ちた。


「まさかこんな形で叶うとは思わなかったが……」

「私……私も同じです! リヴェルト様とちゃんと夫婦になりたい。やり直したいと願って」


 リヴェルトがユレイヤを抱きしめる。
 二人分の強い想いがあったからこそ、ユレイヤは願いを叶えることができたのだろう。


「リヴェルト様、今世ではなにを願いますか?」


 ユレイヤが礼拝堂を見上げる。リヴェルトはそっと目を細めると、ユレイヤの唇に優しく口付けた。


「『ずっと仲睦まじい夫婦でいられますように』――きっとユレイヤも同じだろう?」

「ええ。私たちは夫婦ですから……当然です」


 二人は見つめ合い、満面の笑みを浮かべる。それから互いをきつく抱きしめ合うのだった。