【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「なんでよ!?」

「先程も言ったが、俺はお前との結婚を楽しみにしていたことなど一度もない。お前にはユレイヤほどの美しさも、強さも、優しさもないだろう? だから、俺がお前を選ぶことはありえない。ユレイヤにするように優しい言葉をかけることもない。わかったら、もう二度とユレイヤの前に現れるな」

「なっ……!」


 チェリーヌは顔を真っ赤に染め、強く拳を握りしめる。しばらくそうして反論の言葉を探していたようだが、やがてチッと舌打ちを一つ、ユレイヤの部屋から出ていった。


「気づくのが遅くなってすまなかった」


 リヴェルトはユレイヤに向かってそう言うと、ユレイヤをおずおずと抱きしめる。


「俺がもっとしっかりと気を配らなければならなかったのに」

「そんな……リヴェルト様のせいでは」

「俺のせいだ」


 そう口にするリヴェルトはとても苦しそうだった。ユレイヤはリヴェルトを見つめつつ、そっと彼の髪を撫でる。


「助けてくださって、ありがとうございました」

「当然だ……俺たちは夫婦なのだから」


 先程よりも強く、リヴェルトがユレイヤを抱きしめる。「ええ」と返事をしながら、ユレイヤはリヴェルトを抱きしめ返した。