【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「妻って……待ってよリヴェルト! リヴェルトだって本当はあたしと結婚するのを楽しみにしてたでしょう? それなのに、この女のせいであたしとの結婚が流れたんだもの! 内心ではこの女を疎ましく思っているはずで」

「俺の気持ちを勝手に決めつけるな。言っておくが、俺がお前との結婚を楽しみにしていたことなんて一度もないぞ?」

「え……?」


 チェリーヌの頬が恥辱で真っ赤に染まっていく。チェリーヌはわなわなと体を震わせつつ、大きく首を横に振った。


「そんな……この女に気をつかって嘘なんてつかなくてもいいじゃない? 敗戦国の惨めな女を妻にもらったって、なにもメリットがないし、あたしのほうがよっぽど……」

「ユレイヤは惨めなんかじゃない」


 リヴェルトが真剣な表情でチェリーヌを睨みつける。チェリーヌは「え?」と呟きつつ、顔を歪めた。


「あはは……リヴェルトったら、変に庇ったらかえって可哀想よ。この女はただの人質。いつでも殺せる哀れな女なんだから」

「ユレイヤは俺の妻だ。そんなことは俺がさせない。チェリーヌ、これ以上侮辱するのはやめろ」


 リヴェルトの声音に怒気がこもる。チェリーヌはビクッと体を震わせた後フッと笑い、やれやれといった様子で首を横に振った。


「リヴェルトは優しいのね。きっと誰が妻でも、同じ対応をしたに違いないわ。もしもあたしが妻なら……」

「それはありえない」


 チェリーヌの言葉を遮り、リヴェルトが言う。