【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「お願いですから、もう私のことは放っておいてください」

「けれど、けれど……」

「ヴェリーヌ嬢の言う通りだよ、ユフィ」


 と、背後から声がかけられる。ヴェリーヌたちが振り返ると、そこにはユーフェミアの婚約者である王太子と、アダルヘルムがいた。


「殿下! それにアダルヘルム様も」


 礼をしながら、ユーフェミアの表情がほんのりと歪む。どこから二人に話を聞かれていたのか不安に思っているらしい。


「友達なら、婚約が決まったことを祝福してやるべきだ。そうだろう?」

「え、ええ。けれど……」


 王太子からそう言われると、ユーフェミアはアダルヘルムとヴェリーヌを交互に見ながら、不服そうな表情を浮かべる。


「わたくしはヴェリーヌ様のことが心配ですの。文化の違う土地に嫁いで、苦労をなさるのではないか、と」

「それは余計なお節介だと僕は思うな」


 王太子の言葉にユーフェミアは雷に打たれたような顔つきになった。