『皆様、オハヨウゴザイマース!コレカラ皆様ニハ、デスゲームヲ行ッテモライマス!』
寝た記憶があまりないけれど、目覚めたあたしの耳に--やけにテンションの高いAI音声らしき音声が、聞こえてきた。
あたしは女子校に通っている14歳、この物語の主人公である瀬川沙織。
いつもどおり授業を受けていたハズなのに、なぜか見覚えのない場所にいた。
– –クラスメイト全員と共に。
このちょっぴり薄暗い部屋は、二四人いるクラスメイトが全員、ヨユーで入れるほどの大きさだ。
– –怪しいのは、前方にある、テーブルの上に置かれている真っ白なボタンだ。
テーブルが黒いもんだから、ボタンが目立つ目立つ。
くわえてどこからか聞こえてくる、ナゾなことを言ってくるナゾのAI音声もどき。
クラスメイトたちもさまざまな反応だ。
「ちょっ…なによこの状況!」
「こ、怖いよお……」
「え……?」
「サイアク…」
キレていたり、半泣きだったり、呆然としていたり。
あたしは呆然としている中の一人だったが、頭の中ではこの意味不明な状況をすんなり受け入れられている気がした。
そんな自分がちょっと怖い。
『オシャベリハ、ソコマデ!アッ、ワタクシハ、ゲームマスター、ト申シマス。デハ早速、デスゲームヲ開始シマス…トイタイトコロデスガ、皆様、混乱シテイルヨウナノデ、五分間ノ休憩時間ヲ与エマース!!』
休憩時間…。
『ソノ時間ハ自由二過ゴシテイイデスヨ!タダシ五分経ッタラ、デスゲームノ始マリ始マリ〜!』
「ちょっ・・・!デスゲームなんてやりたくないんだけど!!」
クラスメイトの知里の言葉に、「そうよそうよ!」とブーイングが起こる。
『デシタラ、前方ニアル白イボタンヲ押スノがイイデショウ。白イボタン・・・通称、皆殺しボタン、ハ、押サレタ瞬間二、ココニイル参加者ノ皆様全員が、アノ世行キトナリマース!!』
「ええっ!それって全員死ぬってことじゃんっ!」
それを聞き、知里と仲の良い麻里絵がすっとんきょうな声を上げた。
あわてて口を抑えたが、時すでに遅し。
すすり泣く声や、「そんな・・・」とつぶやく声。
知里でさえも青ざめている。
『ソノトーリ!デハ、五分間ノ休憩時間ト移リマショウ!各自、自由二動イテヨロシイデスヨ〜』
ビミョウな空気も気にせず、ゲームマスターとやらがそう言った。
その言葉に、最初は訝しげな顔をして動かなかったクラスメイトたちだが、知里と麻里絵がお互いの元へ行ったことで、次々に仲の良い子の元へ行き始める。
「「「沙織!!」」」
あたしの元にも、いつも一緒にいる三人がやって来た。
神埼桃子、杉田ミドリ、相川円香。
「デスゲームって…ウ、ウソだよね…?!」
「いや、本当じゃない…?じゃなきゃこんな場所に私たちを閉じ込めないよ。ドッキリにしてはなんか行き過ぎてる感じがするし…」
震えるミドリの言葉に、円香が答えた。
あたしも「円香の言うとおりだと思う」と同意する。
「だったら、デスゲームなんだから死んじゃう可能性も…イ、イヤ……ッ!!」
すでに泣きそうなミドリ。
あたしはずっと黙っている一番の仲良し、桃子を見た。
「ねぇ、桃子はどう思う– –えっ?」
突然、スタスタと迷いのない足取りで歩き出した桃子。
その先には– –〝皆殺しボタン〟がある。
も、もしかして…っ!?
「も、桃子!!待っ…」
カチッ。
『〝皆殺しボタン〟ガ押サレマシタ』
– –「ハァッ!?どういうことよ、アンタ!!ふざけんなッ!!!」
桃子の胸ぐらを掴み、あたしは声の限りに怒鳴り散らした。
「あたしは主人公じゃん!!主人公は生き残るのに、なんで皆殺しボタンを押したんだよッ!!」
「…あははっ、バカじゃないの、沙織?主人公は必ず生き残る、なんてルールがどこにあるわけ?全部、ぜーんぶ作者次第でしょ。…私たちは、主人公が死なないようにするための踏み台じゃねぇんだよ」
最後は低い声で、桃子は言い切った。
「っ、は…?」
なに言ってんだろう、桃子は。
「バカなのはアンタじゃない?主人公が死なないようにするための踏み台じゃない?踏み台に決まってんでしょ」
「それは違うよ」
冷たくそう言ったのは、ミドリだった。
「毎回毎回、主人公だけ都合よく生き残れるなんておかしいよ」
そう言ったミドリに、ついさっきまでの泣きそうな様子は微塵も感じられない。
円香も続ける。
「沙織はなんにも分かってないね。主人公は絶対死なない、なんて古い考えだよ」
知里や麻里絵、他のクラスメイトたちも次々とそんなことを言う。
– –「アンタたち全員、頭おかしいんじゃない?もういい、話になんない。ねぇ!!ゲームマスター!!」
『ハイ、ナンデショウカ?』
「桃子たちが言ってることは気にしなくていいから。で、皆殺しボタン、だっけ?それ取り消してよね。あたしは主人公なんだから、こんなトコでアンタも死んだら困るでしょ?」
『……フフッ、面白イ冗談をオッシャイマスネェ、瀬川沙織サン』
「……はっ?冗談…?なに、言って– –」
『皆殺しボタン、ハ、一度押サレタラ覆スコトハデキマセンヨ?』
ビーーーー!
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!あたしは主人公なんだから死なな--」
寝た記憶があまりないけれど、目覚めたあたしの耳に--やけにテンションの高いAI音声らしき音声が、聞こえてきた。
あたしは女子校に通っている14歳、この物語の主人公である瀬川沙織。
いつもどおり授業を受けていたハズなのに、なぜか見覚えのない場所にいた。
– –クラスメイト全員と共に。
このちょっぴり薄暗い部屋は、二四人いるクラスメイトが全員、ヨユーで入れるほどの大きさだ。
– –怪しいのは、前方にある、テーブルの上に置かれている真っ白なボタンだ。
テーブルが黒いもんだから、ボタンが目立つ目立つ。
くわえてどこからか聞こえてくる、ナゾなことを言ってくるナゾのAI音声もどき。
クラスメイトたちもさまざまな反応だ。
「ちょっ…なによこの状況!」
「こ、怖いよお……」
「え……?」
「サイアク…」
キレていたり、半泣きだったり、呆然としていたり。
あたしは呆然としている中の一人だったが、頭の中ではこの意味不明な状況をすんなり受け入れられている気がした。
そんな自分がちょっと怖い。
『オシャベリハ、ソコマデ!アッ、ワタクシハ、ゲームマスター、ト申シマス。デハ早速、デスゲームヲ開始シマス…トイタイトコロデスガ、皆様、混乱シテイルヨウナノデ、五分間ノ休憩時間ヲ与エマース!!』
休憩時間…。
『ソノ時間ハ自由二過ゴシテイイデスヨ!タダシ五分経ッタラ、デスゲームノ始マリ始マリ〜!』
「ちょっ・・・!デスゲームなんてやりたくないんだけど!!」
クラスメイトの知里の言葉に、「そうよそうよ!」とブーイングが起こる。
『デシタラ、前方ニアル白イボタンヲ押スノがイイデショウ。白イボタン・・・通称、皆殺しボタン、ハ、押サレタ瞬間二、ココニイル参加者ノ皆様全員が、アノ世行キトナリマース!!』
「ええっ!それって全員死ぬってことじゃんっ!」
それを聞き、知里と仲の良い麻里絵がすっとんきょうな声を上げた。
あわてて口を抑えたが、時すでに遅し。
すすり泣く声や、「そんな・・・」とつぶやく声。
知里でさえも青ざめている。
『ソノトーリ!デハ、五分間ノ休憩時間ト移リマショウ!各自、自由二動イテヨロシイデスヨ〜』
ビミョウな空気も気にせず、ゲームマスターとやらがそう言った。
その言葉に、最初は訝しげな顔をして動かなかったクラスメイトたちだが、知里と麻里絵がお互いの元へ行ったことで、次々に仲の良い子の元へ行き始める。
「「「沙織!!」」」
あたしの元にも、いつも一緒にいる三人がやって来た。
神埼桃子、杉田ミドリ、相川円香。
「デスゲームって…ウ、ウソだよね…?!」
「いや、本当じゃない…?じゃなきゃこんな場所に私たちを閉じ込めないよ。ドッキリにしてはなんか行き過ぎてる感じがするし…」
震えるミドリの言葉に、円香が答えた。
あたしも「円香の言うとおりだと思う」と同意する。
「だったら、デスゲームなんだから死んじゃう可能性も…イ、イヤ……ッ!!」
すでに泣きそうなミドリ。
あたしはずっと黙っている一番の仲良し、桃子を見た。
「ねぇ、桃子はどう思う– –えっ?」
突然、スタスタと迷いのない足取りで歩き出した桃子。
その先には– –〝皆殺しボタン〟がある。
も、もしかして…っ!?
「も、桃子!!待っ…」
カチッ。
『〝皆殺しボタン〟ガ押サレマシタ』
– –「ハァッ!?どういうことよ、アンタ!!ふざけんなッ!!!」
桃子の胸ぐらを掴み、あたしは声の限りに怒鳴り散らした。
「あたしは主人公じゃん!!主人公は生き残るのに、なんで皆殺しボタンを押したんだよッ!!」
「…あははっ、バカじゃないの、沙織?主人公は必ず生き残る、なんてルールがどこにあるわけ?全部、ぜーんぶ作者次第でしょ。…私たちは、主人公が死なないようにするための踏み台じゃねぇんだよ」
最後は低い声で、桃子は言い切った。
「っ、は…?」
なに言ってんだろう、桃子は。
「バカなのはアンタじゃない?主人公が死なないようにするための踏み台じゃない?踏み台に決まってんでしょ」
「それは違うよ」
冷たくそう言ったのは、ミドリだった。
「毎回毎回、主人公だけ都合よく生き残れるなんておかしいよ」
そう言ったミドリに、ついさっきまでの泣きそうな様子は微塵も感じられない。
円香も続ける。
「沙織はなんにも分かってないね。主人公は絶対死なない、なんて古い考えだよ」
知里や麻里絵、他のクラスメイトたちも次々とそんなことを言う。
– –「アンタたち全員、頭おかしいんじゃない?もういい、話になんない。ねぇ!!ゲームマスター!!」
『ハイ、ナンデショウカ?』
「桃子たちが言ってることは気にしなくていいから。で、皆殺しボタン、だっけ?それ取り消してよね。あたしは主人公なんだから、こんなトコでアンタも死んだら困るでしょ?」
『……フフッ、面白イ冗談をオッシャイマスネェ、瀬川沙織サン』
「……はっ?冗談…?なに、言って– –」
『皆殺しボタン、ハ、一度押サレタラ覆スコトハデキマセンヨ?』
ビーーーー!
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!あたしは主人公なんだから死なな--」



