君の隣で目覚める恋

「おはよ。」

8時に始まり16時で終わる学校。
私は何度もその言葉を口にする。いや、口にしていた。

入学式の朝、私は遅刻してしまった。
よくある少女漫画の展開のようだった。イケメンも遅刻して教室にいないかな、なんてあるはずの無い期待を抱きながら教室へ向かった。

ガラガラ

いるわけないか笑
私の期待は誰もいない教室内の静寂に打ち消されてしまった。
今更式に参加しようとしても間に合わないので、席に座ろうと黒板に貼ってある座席表を確認した。
ヒロイン席。窓側の1番後ろの席だった。
私は席にむかった。
え?ヒロイン席(私の席)の隣には机に伏せて動かない男の子がいた。
「綺麗な白銀。」
あまりにも彼の髪が珍しく、綺麗だったため思わず口にしてしまった。
慌てる私をよそに彼はぐっすりと眠っていた。
高校生活最初の声掛け、緊張で私の鼓動が漏れていないか不安になる。

「お、おはよう!!!」

この時から私の日常はもう始まっていたのかもしれない

私の大きな声に君はびくりとして体を起こした。
「彩︎華、?」
「さいか?」
私は驚いたがきっと寝ぼけているのだろう、すぐにそう解釈した。
「あ、ごめん」
「大丈夫だよ笑 隣の席になりました、中里由香里です」
「さとちゃん」
「え?」
「苗字も名前も里がつくから笑」
どうして漢字がわかったのかという疑問よりもさとちゃんなんてはじめて言われたから驚いた。
きっとフレンドリーな人なんだろうな、私とは程遠い。
「僕は一ノ瀬れい」
少女漫画に居そうな名前、そう思わずにはいられなかった。
「よろしくね、れいくん」
「どうしてれいくんは式に参加してないの?」
「あー、それは·····」
8時45分。式終了の時間だ。
同時に廊下には生徒のざわめきが聞こえてきた。
教室にはたくさんの生徒が入ってきた。
楽しげな生徒たちによって私たちの存在は打ち消された。私は席に着いた。

先生の自己紹介もおわり、周りも今後の学校生活で最も大切な「ともだち」作りを始めていた。

前の席から向日葵のような眩しい顔がこちらに向けられている。
「わたし結菜!!よろしくね!」

「由香里です。よろしくね」
精一杯の笑みでゆいなちゃんの明るい挨拶に返事をした。
隣を見るとれいくんはまた寝ている。
友達作らないととかいう焦りは無いのだろうか。

ひとまず私は安心した。

同じ失敗は繰り返したくない。