「あの」「わたし」
拓馬の足のつま先を眺め、長いこと沈黙した末、ようやく顔を上げて言葉を発したタイミングは全く同じで、お互いに狼狽えた。
「あ、いや、えと、どうぞっ」
わたしは手のひらで拓馬を指し、発言権を譲った。
「……ごめん」
拓馬は少しの間黙ってから、真摯に頭を下げた。
「……って、謝っても許されることじゃないよな。酷いことばっかり言ったし。自分でもなんであんなこと言ったのか……とにかくごめん。本当に」
「ううん。大丈夫。原因はわかってるから。拓馬のせいじゃないってわかってるから、気にしてないよ」
「原因がわかってる?」
怪訝そうな拓馬に、わたしは全てを話した。
この世界が乙女ゲームの世界であること。乃亜が別の世界から転生してきたヒロインであること。わたしもまた別の世界から転生してきたモブだということ。常に乃亜の傍にいて、乃亜に度を越した『ヒロイン補正』をかけ、今回拓馬たちの心を操ったリスの形の神さま。その使いでありながら、神さまを裏切って、わたしの味方をしてくれたハムスター。
「…………ええー……?」
長い話を聞き終えて、頭痛でも感じたのか、拓馬は額を押さえた。
「信じられないよね、やっぱり……」
「……信じられない。でも、この一週間狂ってた自覚はあるし。何よりお前が言うなら、信じるしかないだろ」
わたしが言うなら。その言葉に、心臓が余計な音を刻む。
「日記にもモブとかヒロインとか意味わかんねえこと書いてあったしな」
「う……」
やっぱり読んだのか。
いや、そうでなければ拓馬の目も覚めなかったんだろうけれど。
すっかり冷めていたはずの頬の温度が再び上がった。
「……うん。わかった。理解した」
どうにか自分の中で折り合いをつけたらしく、拓馬は額を押さえていた手を下ろした。
拓馬の足のつま先を眺め、長いこと沈黙した末、ようやく顔を上げて言葉を発したタイミングは全く同じで、お互いに狼狽えた。
「あ、いや、えと、どうぞっ」
わたしは手のひらで拓馬を指し、発言権を譲った。
「……ごめん」
拓馬は少しの間黙ってから、真摯に頭を下げた。
「……って、謝っても許されることじゃないよな。酷いことばっかり言ったし。自分でもなんであんなこと言ったのか……とにかくごめん。本当に」
「ううん。大丈夫。原因はわかってるから。拓馬のせいじゃないってわかってるから、気にしてないよ」
「原因がわかってる?」
怪訝そうな拓馬に、わたしは全てを話した。
この世界が乙女ゲームの世界であること。乃亜が別の世界から転生してきたヒロインであること。わたしもまた別の世界から転生してきたモブだということ。常に乃亜の傍にいて、乃亜に度を越した『ヒロイン補正』をかけ、今回拓馬たちの心を操ったリスの形の神さま。その使いでありながら、神さまを裏切って、わたしの味方をしてくれたハムスター。
「…………ええー……?」
長い話を聞き終えて、頭痛でも感じたのか、拓馬は額を押さえた。
「信じられないよね、やっぱり……」
「……信じられない。でも、この一週間狂ってた自覚はあるし。何よりお前が言うなら、信じるしかないだろ」
わたしが言うなら。その言葉に、心臓が余計な音を刻む。
「日記にもモブとかヒロインとか意味わかんねえこと書いてあったしな」
「う……」
やっぱり読んだのか。
いや、そうでなければ拓馬の目も覚めなかったんだろうけれど。
すっかり冷めていたはずの頬の温度が再び上がった。
「……うん。わかった。理解した」
どうにか自分の中で折り合いをつけたらしく、拓馬は額を押さえていた手を下ろした。


