あの時も、確か。
この部屋の、この位置で。
そして、そうなるように仕向けたのは───……
「そもそも、その…初めてのキスだって、」
───『ね、尊はキス、したことある?』
「興味本位の、おままごとの延長みたいなっ、」
───『この間、亜莉沙(ありさ)ちゃんに『やっぱり早めに“経験”すべきだ』って、言われてさ…』
「─本気じゃなかったでしょ!?」
───『キス、してみない?』
わたしだ。
……あ。
サーッと血の気が引く。
今のは完全に失言だった……。
部屋の温度が一気に下がる。
尊の気配が、暗く沈む。
引き金となった唇を強く噛んで、机の方へ体を向き直って逃げた。
