「そ、そうは言ってない!!」
慌てて否定して、毛を逆立てる。
わたしをからかうためにわざとわかって言った尊に負けじと、睨み付ける。
「だいたい!頭の良い尊なら、もっと他に良い誤魔化し方があったでしょ!」
「ふーん」
噛み付くわたしを気にした様子もなく、膝の上で肘を乗せ、そのまま顎を預ける。
圧倒的に悠然と構えている。
というかむしろ気だるげだ。
その姿さえ、絵になるほど綺麗なんだから、神様はこの男を完璧に作りすぎだ。不公平。
「言っとくけど、」
にこりともしてない。なのにどこか楽しそうに、瞳が笑う。
「俺だって人間なんだから、咄嗟のフォローの仕方を間違えることもあるんだよ、茉白ちゃん?」
揺ら揺らと、キャットアイの瞳の奥で喜色が揺らいでいる。
まるで獲物を見つけた肉食獣のように。
「それは……そう、かもだけど……」
途端に、さっきまでの怒りの感情が萎れた花のように萎む。
それにつられるように、言葉尻も弱くなる。
それでもなんとか二の句を探して、そわそわと落ち着かない気持ちで視線をさ迷わせて。
不意にファーストキスの時のことが脳裏を掠めた。
