陽向の心残り

「っ、言わないで」



せっかく会えたのに。

せっかく最後に話せるのに。


こんなに早くまたお別れなんて嫌だよ、陽向。




「――好きだよ」




その声は少し震えてて、白い肌が真っ赤に染め上がっていて、陽向の恥じらいや緊張が伝わってきた。

でも目は逸らすことなく、真っ直ぐに私に向かっている。


かっこよくて、可愛くて、キュンとした。

同時に、絶望した。


ただそれ以上に陽向の強い決意が伝わってきて、もうどうしようもないんだってわかった。


泣くな。

陽向はこんなにも笑顔なんだから。

私は胸を押さえて必死に耐えた。



「っ……うん」



頷く私を見た陽向が切なそうに、でも嬉しそうに頬を緩めるから、私もつられて頬を緩めた。


――これで本当のお別れ。


〝私もだよ〟って言葉は飲み込んだ。


もう会えないと思ってた陽向と少しでも話せてよかった。

この言葉を聞けて、よかった。



大好きだよ、陽向。




さようなら――。