陽向の心残り


 *



ひとまず私たちは、いつも二人で過ごしていた公園にやって来た。

時刻は午前十二時三十分。

期限まであと十二時間を切っている。

降り続いていた雪はいつの間にか止み、雲間からのぞく太陽が雪原を照らしていて、そのあまりの眩しさに私たちは目を細めた。

私たちから少し離れたところでは、よちよち歩きの子供がお母さんに見守られながら雪遊びしているのが見える。


「未練かぁ」


陽向は生前と同様ベンチにだらんと座って空を仰ぐ。

ちなみに陽向が事故に遭う直前に私たちがいたのも、この公園。

いつもの学校帰り、そこの自販機でジュースを買って二人でダラダラ話をするのが日課だった。

その日は以前一緒に観ようって言ってた映画を陽向がクラスの友達と先に観ちゃって、それを私が怒って陽向が平謝りするっていう、まぁなんでもない夜だった。


「ぶっちゃけ俺、心当たりがあるんだけど」


俯いて考え込んでいた私に陽向がおもむろに言った。


「え……?」


顔をあげると、陽向と視線がぶつかった。

その熱を帯びた視線で、陽向が何を言いたいか私も分かってしまって、心臓が徐々に騒ぎ出す。



「それ、言うの?」

「うん。悪霊は嫌だしね」



今まで陽向が〝それ〟を言わなかったのは、私たちが仲の良すぎる幼なじみだったせいかもしれない。


「希咲」


意を決したように息をついた陽向は、立ち上がって私と向かい合う。



「っ……、待って……」


中学を卒業する頃から、陽向が何度も言おうとしてくれてたことを私は知っていた。

そして、ずっと待っていた。


でもそれが本当に陽向の未練なのだとしたら。

今それを言ったら陽向は……