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そして私たちは、もう一人の幼なじみである浩輔の家に駆けこんだ。
「あぁ、化けて出ちゃったか」
玄関で私たちを見るや否や、浩輔はジト目で言った。
内海浩輔。
もう一人の幼なじみ、葉宮神社の跡取り息子だ。
神社の裏にかまえる築百年を超えるこの立派な木造邸宅が、浩輔の家。
「言い方悪いなぁ」
ヘラヘラ笑う陽向に、浩輔は呆れたようにため息をつく。
幽霊陽向の姿は香苗おばさんも私の家族も、道行く人の誰にも見えないようだった。
霊感のある浩輔を訪ねてみて正解だった。
もしかしたら幻覚を見てるのかもって不安だったから。
「お前なに死んでんだよ、バカだなぁ」
「わざとじゃないんだよ」
「わざとならもっとバカだよ」
浩輔は気だるげに頭をボリボリかきながらスウェットの上にダウンを着て、つっかけサンダルを履く。
「中入れてくんないの?」
「じいちゃんにバレたら面倒だから」
そう言って浩輔は玄関を出ると、隣にずっしりと構える蔵へ向かった。



