*
そして陽向の未練は見つけられないまま、約束の時間まであと一時間となった。
「はー、やりきったなー」
「主に桃鉄をね」
私たちは浩輔と待ち合わせてるいつもの公園に戻って来た。
昼の騒がしさは消え、穏やかな夜が広がっている。
もうあと少し。
浩輔が来たら陽向はいなくなってしまう。
……でもね。
浩輔にお願いすればもう少し一緒に居させてくれるんじゃないかな、なんて思ってる。
浩輔って実はかなりツンデレだし。
「あー、なんか笑い過ぎて小腹すいちゃったな」
それでも拭いきれない不安を誤魔化したくて、明日は何しようかな、とか考えながら私は自販機に向かった。
「俺の五百円使っていいよー……て言う前にもう使ってる~」
「ひひ」
本当は、この五百円玉はとっておこうと思ってた。
でも、なんとなく女々しい気がして。
ここは私らしく、使っちゃうことにした。
「二本買っちゃおー」
ボタンを押すと、コンポタがガコンッと受け取り口に落ちる。
そういえば、コンポタを初めて飲んだのは小学生の時だった。
陽向と喧嘩して、仲直りしようって陽向が買ってくれたんだ。
あのときも確か雪が降ってたなぁ。
熱いコンポタの缶を二つとり、お腹に抱えて振り向くと。
「…………え?」
陽向が、消えかかっていた。



