陽向の心残り



 *



それから私たちは、手当たり次第色々な場所を巡った。

水族館の水中トンネルでエイを見上げ、二人で見れなかった映画を観て、サイゼでプリンを食べながら映画の感想を言い合ったあとバッティングセンターに行った。


陽向に出来ることは限られていたけど、陽向はどれも本当に楽しそうにしていた。

私も勿論楽しくて、はたから見たら一人でしゃべって笑う変な人だったと思う。

それでもかまわなかった。


「結局これが最高なんだよなー」


そして最終的に辿り着いたのは陽向の部屋。

今はベッド下のカーペットに二人で転がって、二人とも大好きな少年漫画の最新刊を読んでいる。


「え!こいつ絶対いいやつだと思ってたのに裏切られた!うわ、続きめっちゃ気になる」

「未練増えたね」

「なくすどころか増えた」


読み終わる頃には、時刻は二十一時をまわっていた。


「あと三時間か」


陽向はそう呟いたあと、神妙な面持ちで私に向き合った。



「……希咲。お願いがある」



なんて真剣な眼差しだろう。

私は息をのんで、向かい合って正座する。



「なに?」

「ドンキでセクシーバニーガール買ってきてほしい」



 ……。