「とりあえず色んなところ行ってみよう!」
私は立ちあがって、陽向の手を掴もうと手を伸ばした。
けど、当然すり抜けてしまってハッとする。
「あ……ごめん」
刹那、切なさがよぎって顔が強張ってしまう。
「おりゃ!」
「⁉︎」
突然陽向が私を抱きしめるように覆いかぶさってきた。
当然それも後ろへすり抜けてしまう。
「ひ、陽向⁉︎」
普通に生きてたら体験しない事態に、心臓はバクバクと早鐘を打つ。
「あっはは!希咲の中を通り抜けるって変な感じ!」
陽向はケラケラと笑ってまたやった。
「も、なにするの、陽向!」
そう咎めつつ、陽向があんまり楽しそうにするから私もつられて笑えてきてしまう。
しかもそれをいろんな態勢でやってみせるからツボに入って、二人して笑いが止まらなくなった。
「もう、あはは、やめてよ〜」
そうだ。
陽向はいつもそう。
陽向はいつも私が落ち込んだりしたときこうやって茶化して笑わせてくれる。
あぁ、陽向だって実感する。
楽しければ楽しいほど、好きだなぁって気持ちが湧き上がって、胸が苦しくなる。
「もう、笑い過ぎて苦しいっ」
私は目尻に涙がにじむのを、笑い過ぎのせいにした。



