メンヘラちゃんとヤンデレくん!?

依音は、わかりやすい。
不安になると、視線が泳ぐ。
声が少し高くなって、呼吸が浅くなる。
……可愛い。
今日も、俺が他の女子と話しただけで、あの顔だ。
罪悪感?
ない。
むしろ、嬉しかった。
俺の行動一つで、あんなに感情が揺れるなんて。
それだけ、俺が中心にいるってことだから。
「私だけじゃ、足りない?」
震えながら聞いてきた依音。
あの瞬間、胸の奥がぞわっとした。
足りないわけないだろ。
足りすぎるくらいだ。
だから、ちゃんと答えてやった。
「依音は、俺のだから」
そう言えば、あの子は安心する。
縋ってくる。
依存してくる。
……望み通り。
依音は、自分を「重い」って言うけど、違う。
重いんじゃない。
ちゃんと、沈んでくれるだけだ。
軽い人間は、すぐ離れる。
でも依音は違う。
不安になって、疑って、泣いて。
それでも、俺のところに戻ってくる。
俺が肯定すれば、全部許されると思ってる。
「独占欲、悪いことじゃないよ」
そう囁いた時の、あの表情。
救われた、みたいな顔。
……ああ。
もう、戻れないな。
依音は、自分から鎖を差し出してきた。
俺は、それを受け取っただけ。
それだけなのに。
胸の奥が、満たされていく。
依音は、俺がいないと壊れる。
でも、それでいい。
壊れるなら、俺の腕の中で。
俺の言葉で。
俺の許可で。
「他の人と話さないで」
そう言われた時、少しだけ驚いた。
……言わせたのは、俺だけど。
でも、拒む理由はなかった。
「依音が壊れるくらいなら、その方がいい」
本音だ。
世界より、依音。
依音より、俺。
その順番が、正しい。
スマホが震える。
『今、なにしてる?』
すぐ返す。
『依音のこと考えてた』
嘘じゃない。
画面越しに、安心した気配が伝わってくる。
……ほら。
俺がいれば、依音は大丈夫。
逆も、同じだ。
依音がいない世界なんて、
考えたくもない。
だから。
逃げる隙なんて、
最初から与えない。