獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

「屋上から背中を押されて落とされて、ヴィルフリートに助けてもらわなければ死んでいたかもしれない……と、そう聞いたが大丈夫なのか?」

「え……あ。そうです。ちょうど、ヴィルフリートが騎乗訓練中で……そうでなければ、私は助からなかったかもしれません」

 オルランドはまるで私に確認するかのように聞いたので、何度か頷いて答えた。

 どうして、彼が知っているんだろう? とは、不思議に思ったけれど、ヴィルフリートと彼が仲が良いのだから、情報共有していても不思議なことではないのかもしれない。

 それも、あんなにも大きな出来事だったのだから。

「いや、そうか……人の目がある城の中で人殺しを企むなど、常軌を逸しているように思えてな。目撃して救助したヴィルフリートや被害者であるブライスを疑っているわけではないのだが、僕には理解しがたい事象だったから話しを聞きたかったんだ」

「それは……っ」

 私は……私だけは、フロレンティーナが、それをしようとした理由を知っている。

 『彼女』は聖女フロレンティーナの身体が本来持つ能力を利用して、人を操作することが出来る。

 だから、屋上には私と彼女以外居なかったのだろうし、目視で顔を判別出来る距離に居る誰かも窓を見ていなかったはず。