獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢


 ……ら、背中を誰かに強く押されて、気が付いたら浮遊していた。

 え!

「っ……!!!」

「……っ、ブライス!!」

 落下していく速度がゆっくりと思えた中、私の名前を呼ぶ声が聞こえて、腰には太い腕ががっちりと巻き付いていた。

「ヴィルフリート……」

 もう死んだと咄嗟に思った私は、助けてくれた彼の名前を呆然として呼んだ。ヴィルフリートの乗っている銀竜は地上スレスレにまで降下して、彼は私の身体をどうにか受け止めてくれたらしい。

「まじか……あの女、本当に最低だな」

 高度を上げて体勢を安定させると、ヴィルフリートは私がついさっきまで居たはずの屋上を睨み付けていた。

「……ヴィルフリート。私の背中を押した人……見たの?」

「ああ。見た。金髪の聖女だろう。今日もブライスに禁じられた接近したと聞いて、陛下に報告しに行くつもりだった。あの女。かなり良い気になっている。どうにかしてやりたい」

 私が恐る恐る尋ねると、ヴィルフリートは怒りの表情で頷いた。

「嘘……ヴィルフリートは、私ではなくて、フロレンティーナの方が悪いって思う?」