獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 そうして、悪役令嬢ブライス・ルブランは退場してしまうはずなのだから、ここでもう会えなくなっても何の問題もない。

「あら! けど、ヴィルフリートと仲良くしているんでしょう? どうしてくれるの。ブライスのせいで彼に私が悪いイメージを持たれてしまうわ」

 フロレンティーナは、胸に手を当てて悲しそうに言った。

 そうだった……ヴィルフリートは、フロレンティーナが築く逆ハーレムの一員。それなのに、彼はいま私の味方をしている。

 それが、フロレンティーナにとっては、とても面白くないはずだ。

「……ヴィルフリートは、私を助けてくれただけよ」

 消え入りそうな声で私は言った。まだ、自分は良い。悪役令嬢として転生しこういう役目を背負わされたというなら、それはそれで仕方ないと思う。

 けれど、これが原因でサブヒーローの一人であるはずのヴィルフリートに、何かされてしまったら……。

 フロレンティーナは私の言葉には何も返さずに、無言のままで微笑んで去って行った。