獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 もし、感謝を言いたいとヴィルフリートに会わなかったら……ゾワッと冷たいものが背筋を通り抜けて、私は首を横に振った。

「何を考えているのかしら。あの時はそうだったかもしれないけど、今はそうではないもの……悪いことは考えないようにしないと……」

 私はそう思った。鬱々と悪いことを考えていれば、それはきっと、悪いものを連れて来る。わかっているのに。

 ……けれど、どうしても嫌な気持ちは拭えない。

 ここ数年ずーっと延々付き合って来たものだから、それは仕方ないのかもしれないけれど……私が消したいと思って消えるものなら、既に消えているのだから。


◇◆◇


 上司ジョニーに日誌を渡した帰り道、その姿を久しぶりに見た時、やっぱりそうだったと思った。

 ……だって、今日はなんとなく、悪い予感はしていた。

 だから、それが当たったのだと思った。

 昨日はフレデリックが来ていたし『彼女』もそれは、知っているはずだ。二人はお互いに信じ合い、誰よりも愛し合っているはずなのだから。

「久しぶりです……ブライス様」