獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 ヴィルフリートの冷静な言葉を聞いて、フレデリックは大きく動揺したかのように瞳を揺らした。

「性格の悪い女なら、姉で懲りているんでね。俺はそういう性悪女に騙されない。だから、わかるんだよ……ブライスがそういう女の子ではないことはな」

 あ。ヴィルフリートって、お姉さんが居るんだ。小説の中には、そこまでの詳しい親子関係は出て来なかった。

 なにせ、『れんかん』にはメインヒーローのフレデリック以外にもヴィルフリート含め、何人もヒーローが居るのだ。後半に出て来るヴィルフリートのことは、そこまで掘り下げては描かれなかった。

「……後悔するなよ」

「どっちが」

 不快さを隠さないフレデリックはヴィルフリートの次に私を睨み付けて、くるりと背を向けて去って行った。

「……おい」

「なっ……なんですかっ」

 私はヴィルフリートに、また何か意地悪なことを言われると思ってしまって身構えた。

「よく泣かなかったな」

 そう言ってヴィルフリートは、私の頭をポンポンと叩いた。え。優しい……嘘でしょう。