獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 フレデリックが眉を寄せてとんでもないことを言い出したので、一体何をと私は目を剥いた。

「なっ……! そんな……違います!」

 ヴィルフリートを手玉に取るなんて、そんなこととんでもない。どんなに贔屓目に見ても、彼は私なんかに手玉に取られてくれそうな男性ではないことは確かなのに。

「何が違うんだ。その通りだろう? だから、フロレンティーナにも、何度も何度も嫌がらせを」

 軽蔑の眼差しを向けられた時に、それだけで萎縮してしまった私は、もう何も言えなくなった。

 なんでだろう。もう何年間も繰り返したやりとりなのに、いつまでも突き刺すように心が痛い。

 ここで何を言っても私なりの事情を順序立てて話しても、フレデリックは私が全部悪くてフロレンティーナは可哀想で悪くないと言う。

 いつもいつも……いつもフレデリックは、そうだった。

 私だって可能性を抱いて、フレデリックを説得しようとしたこともあった。証拠に思えるような手紙などを集めても、どうせ偽物でくだらない偽造だろうと取り合ってもくれなかった。