獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 なんなら、庭師歴の長い上司のジョニーに聞いて異国でも私のような女性でも雇ってくれそうな庭園などを、先んじて紹介してもらっても良いかもしれない。

 そうすれば、明確な目的地のある旅になり、お金が掛かってでも安全な旅路を選んで行けば、何の問題も起こらないはずだ。

 今、何の心配もない未来を想像することが出来ているのは、ヴィルフリートのおかげだった。

 私は毎日仕事の終わりに、上司ジョニーに日誌を届けに行くことになっている。

 いつも通り、ジョニーの働く中央庭園へと向かえば、城の廊下で甲高い歓声が近く聞こえて来たので、興味を惹かれた私は声の方向へと近付いた。

「キャー! ヴィルフリート様ー!」

「こっち向いてー!!」

「素敵ー!!」

 訓練場には、貴女たち仕事はどうしたの? と、何の関係もない私が聞きたくなってしまうくらいに、女官やメイドたちが数多く集まっていた。

 聖竜騎士団の面々が、一対一の模擬試合で勝利を競い合っているようだった。

 他の竜騎士の名前も呼ばれるものの、圧倒的に人気なのは、ヴィルフリート・レイドだった。