獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

「……やあ、おはよう。ブライス」

 温室の奥から背伸びをして出て来る男性を見て、私ははあっとため息をついた。

 人の寝顔を見る趣味はないので、私も居るか居ないかをわざわざ確認したりもしないけれど、また今日も、ここでサボって昼寝をしていたらしい。

「夕方ですよ」

 朝の挨拶はあまりにも似つかわしくない夕日の光の中で、私は呆れて言った。

 この文官の男性は、自ら名乗らないので名前は知らない。私も別に興味もないので、彼に名前を聞いたりしなかった。

 何故、彼の方が私をブライスだと知っているかと言うと、たまに上司であるジョニーがここに来るので、私の名前はそこで話をしているのを盗み聞き知ったらしい。

 この人が何の仕事をしているのか知らないけれど、こんなにも空き時間があるのなら、楽な仕事なのだろうなと思う。

 私は今は一日に数時間働いて給金を貰う庭師見習いではあるけれど、それなりにやることがあって一日が早い。

 彼のように怠惰な生活をしていると、とてもではないけれど忙しない仕事はこなせそうになかった。