獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 作品の中での時系列で言うとヴィルフリートは、そろそろフロレンティーナに出会うはずだ。私が彼に事前情報を流してしまっているけれど、よくよく考えるとそれって何の意味もないことかもしれい。

 何故かというと、これまでに私が『実は……』などと打ち明けたところで、誰も信じてはくれなかったからだ。

 いつも正しいのはフロレンティーナで、間違っているのは私なのだ。

「そうよね……そうだったわ」

 私は朝食のスプーンを置き、ふうと息をついた。

 目線を少し上げれば人が集まる騒がしい食堂の中で聖竜騎士団の面々は、私のことをどう説明されているものか、特に珍しがったり私に話し掛けたりする様子なども見られなかった。

 別に無視をしたり避けたりもしないけれど、良い距離感で放って置いてくれる。

 これまでに色々とあって人間不信気味の私にとっては、それがとても助かっていたし、ただ温室で薬草の世話をしていれば良い、ここでの生活には問題はなかった。

 ……けれど、ずっとここに居るわけにもいかない。温室のようにぬくぬく居心地が良いとしても。