獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

「はーっ……」

 私は食堂で朝ご飯を食べながら、大きなため息をついた。

 あれからというもの、温室で昼寝をして仕事をサボっていた文官の男性は、度々温室に来るようになってしまった。

 一応は関係者以外立ち入り禁止ではあるのだけど、温室は温室なので入場制限もなく、扉も常に開放されている。誰かが入ってもおかしくない状態だった。

 けれど、庭師を取り纏める責任者である上司ジョニーに相談することは躊躇われた。私はこのひと気のない職場が気に入っていたし、今育てている薬草にも愛着が湧いて来だしたところだったからだ。

 植物は私を裏切らない。人は何かと裏切るけれど。

 植物は命を繋ぐための水をやれば必ず喜んでくれる。人はそれぞれ考え方や好むものによって喜ぶことが違う。

 扱いの難易度が、あまりにも違い過ぎる。

 そうよ。結論として、私は人より植物が好き。

「おい。元気なさそうだな。ブライス。早々に働くのが嫌になったか? 最初のあの勢いは、どこ行ったんだよ」

 私がため息をついてしまったところを目撃したのか、ヴィルフリートは揶揄うように声を掛けて来た。

 聖竜騎士団の一人である彼は、各地遠征や交替の哨戒任務などもあるらしく、毎朝食堂に居るという訳ではない。

 だというのに、ため息をついたところをちょうど見られてしまった。