獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 彼は本当にそう思って居るのか思って居ないのかわからない。にこやかな微笑みを浮かべて私の言葉に頷いた。

「いえ。大丈夫です。良く似ていると言われるので、きっと良く似ているのでしょう」

 かなり苦しい言い訳かもしれないけれど、そう言うしかない。私はルブラン公爵家の遠縁の娘……そして、庭師として働きたいと城で志願した。お願いだから、そういうことにしておいて~。

「ふーん……そういえば、さっき人間関係がどうのと言っていたけれど、何か嫌な事でもあったの?」

「そっ……それはっ!」

 確かに誰も聞いていないと思って、心の底から願うことを口にしてしまったかもしれない。

 もう二度とフロレンティーナのような女性に目を付けられないように、誰かの恋敵となりそう恋愛なんて二度としない。

 ううん。恋愛なんてもう関わりたくもない。

「……もう、面倒な人間関係に関わりたくないんです。好きでもない男性が好きだからと、私を利用して彼に好かれようとする女性が居て、ほとほと疲れてしまったんです」

 そうだ。私は婚約者フレデリックのことを、まったく好きではなかった。