獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 お金がほとんどないのに生活を軌道にのせて上手く適応するためには、かなり多くの幸運に恵まれなければならない。

 けれど、ヴィルフリートが匿ってくれたおかげで、私は準備万端整えて、この国を出て行くことが出来る。彼が提案してくれたことだけど、ある程度落ち着いた今はとても感謝はしている。

 ……けれど、私はヴィルフリートとなるべく関わりたくはなかった。

 だって、ヴィルフリートは小説の中では、いずれ、総愛されヒロイン、フロレンティーナを好きになる人。

 手に職を付けたら、お金を稼いで、早く彼から離れないといけない。

 私は恋愛なんてもうどうでも良い。ただ、自分たちの恋に酔って、私を不幸にするあの人たちと離れて、おだやかに生きて行きたい。

 私の望みはそれだけなの。

『庭師見習い募集中』

 壁に貼られた求人の張り紙の中に、この文字を見付けた時、私は直感的に『これだ!』と思った。

 だって、庭師になるならば、人と話さなくても良いもの。