命を助けて貰ったのだけれど、ヴィルフリートはすぐに騎竜で飛行して去ってしまった。
何もかも失って王都の路上に捨てられるように放置された私が、ふらふらとして歩き出して、この国を出る前にこれだけは……と思ったのが、彼に感謝を伝えることだった。
「そうではない……とりあえず、君の身には何が起こったんだ! 先にその理由を話せ。気になりすぎるだろう!」
眉を寄せたヴィルフリートは、イライラとした強い圧を込めて言った。これは彼の性格によるもの、作内ではドS竜騎士と称されるヴィルフリートだから仕方ない。
生来の基本属性がドSなので、私の反応が彼の思った通りではなかったから……きっと、気を悪くしたのね。
「その……私はフレデリック・オーキッドの……元、婚約者です。二日前に、夜会の途中で婚約破棄をされて……」
あ。そうだったわ。もう私は、フレデリックの婚約者ではなかった!
ああ……本当に良かった。安堵が広がった胸に両手を当てて、思わず息をついてしまった。



