助けてもらって、早くお礼を言うべきだとは思った。けれど、さっき感じた強い恐怖に、声がなかなか出て来ない。
「……ふん。何も知らずに迷い込んだか。悪いが、俺は任務があり行かなくてはいけない。あっちの方向に進め。人が何人か居るようだ。迎えに来たのではないか」
鼻で笑ったヴィルフリートは、私に顎で左の方向を示した。
そして、呆気なく飛び去って行った。
私はヴィルフリートが示した通りの方向へと進めば、何人かのルブラン公爵家の者が居て、雨に濡れた私を邸へと連れ帰った。
……確かに素敵な人だったけど、ヴィルフリートは小説の中では、いずれ総愛されるヒロインを好きになるはずの人。
感謝を伝えたかったけれど、手紙では失礼になるから、いつか会いに行かないと。そして、邸へと帰ればオーキッド公爵家での出来事を『何故もっと上手くやれなかったのか』と叱られる。
私の両親はフレデリックに近付く、聖女フロレンティーナの排除を望んでいた。
だから、フレデリックから『ブライス・ルブラン! お前と婚約破棄をする!』と宣言された時、私は本当にこれで終われると嬉しかったのだ。
ああ……これで、ようやく悪夢のような八方塞がりの日々から、解放されたんだ……と。
「……ふん。何も知らずに迷い込んだか。悪いが、俺は任務があり行かなくてはいけない。あっちの方向に進め。人が何人か居るようだ。迎えに来たのではないか」
鼻で笑ったヴィルフリートは、私に顎で左の方向を示した。
そして、呆気なく飛び去って行った。
私はヴィルフリートが示した通りの方向へと進めば、何人かのルブラン公爵家の者が居て、雨に濡れた私を邸へと連れ帰った。
……確かに素敵な人だったけど、ヴィルフリートは小説の中では、いずれ総愛されるヒロインを好きになるはずの人。
感謝を伝えたかったけれど、手紙では失礼になるから、いつか会いに行かないと。そして、邸へと帰ればオーキッド公爵家での出来事を『何故もっと上手くやれなかったのか』と叱られる。
私の両親はフレデリックに近付く、聖女フロレンティーナの排除を望んでいた。
だから、フレデリックから『ブライス・ルブラン! お前と婚約破棄をする!』と宣言された時、私は本当にこれで終われると嬉しかったのだ。
ああ……これで、ようやく悪夢のような八方塞がりの日々から、解放されたんだ……と。



