獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

「ねえ、皆様! 良かったら、奥にある船遊びを楽しみましょうよ。きっと楽しいわ」

 白い日傘を手にして清楚な水色のドレスを着用したフロレンティーナはそう無邪気に提案し、彼女に心酔している周囲は口々に賛成した。

 そんな光景を見て私は、喉の奥に何かつっかえたような、不快な思いを味わっていた。

 私の目から見れば彼女とそれ以外の人々は、まるで新興宗教の教祖と信者のように見えるのだ。

 そして、雲行きの怪しい空を見て、なんだか嫌な予感はしていた。けれど、フロレンティーナの提案に私が反対することなんて出来なかった。

 やはり予想通りというか、船遊び中に事件は起きた。

 フロレンティーナの乗っていた船が沈み、慌ててフレデリックは彼女を助けに湖へ。彼女は感動的に救助されて、流れるように私がフロレンティーナを湖に落とした犯人となった。

「信じられないぞ! ブライス! まさか、こんなことまでするとは!」