とはいえ、驚き過ぎて動きを止めたヴィルフリートと、見つめ合っている場合ではないわ。
「あの……先日、命を助けていただいた者ですが……」
ヴィルフリートに会いに来た理由は、彼へとお礼を伝えることだった。ついこの前に巨大熊に襲われそうだったところを、近くで任務中だった彼が偶然助けてくれたのだ。
命の恩人に感謝も伝えずに異国へと去るなんて、死に際までの後悔になりそうだったから。
「いや……いやいやいや、待て待て待て。それは一旦、どうでも良い。まずは、何がどうしたんだ。その恰好は!」
おずおずと話し出した私の姿をひと目見て、明らかに驚いているヴィルフリートが早口で疑問を呈するのも無理はない。
私がいま着用している赤い夜会用のドレスは、みっともなく薄汚れていた。二日前から地下牢に閉じ込められた上に、兵士に乱暴に城から追い出されたからだ。
……着替えなんてする間もなく、このまま、ここへと来るしかなかったのだ。
「あ。これは……城を追い出される時に汚れてしまって。私はこの国を、すぐに離れなければいけなくて……けれど、どうしてもレイド様に感謝の言葉をお伝えしたく、失礼を」
「あの……先日、命を助けていただいた者ですが……」
ヴィルフリートに会いに来た理由は、彼へとお礼を伝えることだった。ついこの前に巨大熊に襲われそうだったところを、近くで任務中だった彼が偶然助けてくれたのだ。
命の恩人に感謝も伝えずに異国へと去るなんて、死に際までの後悔になりそうだったから。
「いや……いやいやいや、待て待て待て。それは一旦、どうでも良い。まずは、何がどうしたんだ。その恰好は!」
おずおずと話し出した私の姿をひと目見て、明らかに驚いているヴィルフリートが早口で疑問を呈するのも無理はない。
私がいま着用している赤い夜会用のドレスは、みっともなく薄汚れていた。二日前から地下牢に閉じ込められた上に、兵士に乱暴に城から追い出されたからだ。
……着替えなんてする間もなく、このまま、ここへと来るしかなかったのだ。
「あ。これは……城を追い出される時に汚れてしまって。私はこの国を、すぐに離れなければいけなくて……けれど、どうしてもレイド様に感謝の言葉をお伝えしたく、失礼を」



