獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 私は本当に、自らの現状に満足していた。

 これからの事を思えば、貴族であった時よりも、金銭的には苦労をするかもしれない。

 けれど、自らの立場を思えば逃げることも許されず、不思議な能力を持つ相手に好き勝手されても何も言い返すことも出来なかった。そんな針のむしろのような状態から解放されることが出来て、良かったとしか思えない。

 私はこれからようやく、自分の人生を生きることが出来るのだから。

「……もう良いから、黙って俺に面倒をみさせろよ!」

 有り難い申し出を断った私を見てイラッとした様子で、ヴィルフリートは言った。

 私はそんなヴィルフリートに唖然とした。ただ感謝したかっただけで、助けて欲しいなんて思ってもなかった。

 彼に助けてもらったあの事件だって元を辿ればフロレンティーナに罠を掛けられて、森の置いてけぼりになり巨大熊に襲われそうになっただけなのだ。

 ……え? どうして? 見ず知らずの私に、ここまでの事を言ってくれるなんて、理解が出来ない。

 あ。婚約破棄されて国外追放される私が、可哀想に思えたからかしら。