獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 王族は王位を継げば一生逃れられないため、若い頃の我が儘はある程度許されている。だから、私も今回の王太子殿下は、人嫌いで学問好きの変わり者という話を聞いて育っていた。

 ……まさか、身分を隠して王城の中に居るなんて、まったく思って居なかった。

「ブライス。驚かせてすまなかった」

「いっ……いえ!」

 私はそれ以外、何も言えなかった。オルランドが王太子殿下であるなんて、これまで思わずに接してきたし、どの部分が不敬罪に当たるのかとぐるぐる考えてしまって……。

「オルランド殿下は、王位を継ぐ前は王族で居たくないと仰って……ああして、文官の姿で居たんだよ。別にブライスを騙そうとしたわけじゃないから」

 そうなんだ。オルランド様が望んだ我が儘は、王族で居たくない……だったんだ。だから、あんな風に気ままに昼寝したりしていたんだ。

「そっ……そうなんですか。驚きましたけど、その……」

 私は大きな驚きと緊張で、何を言えば良いかわからなくなった。