獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢


 前はあの二人を見るだけで、胸がぎゅっと締め付けられたものだ。

 私を傷つける人、私を嘲る人、私は何をしていないと訴えても、どうしても理解してくれないという悲しみが心臓を取り巻いて、どうしてもやるせなくて。

 今は何も思わない……隣に居るヴィルフリートが、何があっても私を助けてくれると信じられるから。

「はいはい。待ってたよ。ウィルタリア王国随一の忠臣中の忠臣の俺に、よくも反逆罪などという根も葉もない容疑を掛けてくれたな? お二人さん。絶対に許さないから、覚えとけ」

「は? 何を言っているんだ。レイド。気でも狂ったのか。大逆の容疑者であるのに、逃げ回っていたのはお前だろう。もし、無実だと言うのなら、どうして逃げ回っていた? 容疑を晴らしたいなら、事情を説明すれば良い」

 フレデリックは腕を組んで、鼻で笑っていた。確かにそれは、そうかもしれない。ヴィルフリートは容疑者として連行されようとしていたのだから、無実だと言うのなら、それを晴らせば良いだけだ。

 周囲の貴族たちも固唾を呑んで、このやりとりを見守っていた。