「……よーし。これで、立派な公爵令嬢だな。ブライス」
「私は元々、ルブラン公爵令嬢ブライスだけど。ヴィルフリート」
久しぶりに本格的な夜会仕様にドレスアップしたら、黒いタキシードを着て髪を撫で付けたヴィルフリートに揶揄われたので、私は顔を顰めて言い返した。
けれど、綺麗な銀色のドレスは美しく身体に沿ってピッタリで、私好みの大人っぽいものだったので、気持ちも浮き立った。
これは、いまだ会えてない私の両親が用意したものらしく、行きつけのメゾンで仕立ててくれたのだろう。
勝負服ならぬ勝負ドレスに相応しい、気合いの入った出来上がりだった。
「それは、すまない。まさか、これほど美しいご令嬢がここ三ヶ月ほど庭師見習いをしていたとは、誰も信じないだろうな」
完璧な装いで余裕ある仕草のヴィルフリートは、肩を竦めて腕を差し出した。私は腕を絡めつつ彼に近付いた。
「ふふっ……そうね。私は庭師見習いは好きだわ。今夜もし失敗したら、どこかの邸で庭師として働こうと思うの」
「おいおい。失敗する時にどうするか考えるのか? それは良くない。まあ……今夜は絶対失敗しないんだが」
ヴィルフリートは自信満々の表情で、私と共に扉の前に立った。
「……随分と、自信があるのね?」
「まあね。俺も色々と考えて、あの女に、絶対に負けない方法を編み出した」
名前の口上が終わり、大広間へと続く扉が開いた。
私たちが一歩一歩進み出す毎に、周囲のざわめきは重なっていった。不穏な空気に小さな悲鳴。私たちはまるで、堂々と公の場に姿を現した犯罪者のように扱われていた。
こくりと息をのんで隣に居るヴィルフリートを見上げれば、彼の青い目はまったく揺らいでいなかった。
「私は元々、ルブラン公爵令嬢ブライスだけど。ヴィルフリート」
久しぶりに本格的な夜会仕様にドレスアップしたら、黒いタキシードを着て髪を撫で付けたヴィルフリートに揶揄われたので、私は顔を顰めて言い返した。
けれど、綺麗な銀色のドレスは美しく身体に沿ってピッタリで、私好みの大人っぽいものだったので、気持ちも浮き立った。
これは、いまだ会えてない私の両親が用意したものらしく、行きつけのメゾンで仕立ててくれたのだろう。
勝負服ならぬ勝負ドレスに相応しい、気合いの入った出来上がりだった。
「それは、すまない。まさか、これほど美しいご令嬢がここ三ヶ月ほど庭師見習いをしていたとは、誰も信じないだろうな」
完璧な装いで余裕ある仕草のヴィルフリートは、肩を竦めて腕を差し出した。私は腕を絡めつつ彼に近付いた。
「ふふっ……そうね。私は庭師見習いは好きだわ。今夜もし失敗したら、どこかの邸で庭師として働こうと思うの」
「おいおい。失敗する時にどうするか考えるのか? それは良くない。まあ……今夜は絶対失敗しないんだが」
ヴィルフリートは自信満々の表情で、私と共に扉の前に立った。
「……随分と、自信があるのね?」
「まあね。俺も色々と考えて、あの女に、絶対に負けない方法を編み出した」
名前の口上が終わり、大広間へと続く扉が開いた。
私たちが一歩一歩進み出す毎に、周囲のざわめきは重なっていった。不穏な空気に小さな悲鳴。私たちはまるで、堂々と公の場に姿を現した犯罪者のように扱われていた。
こくりと息をのんで隣に居るヴィルフリートを見上げれば、彼の青い目はまったく揺らいでいなかった。



