獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 ヴィルフリートは紳士らしく、両目を片手で覆っていた。私は服が仕事で汚れてしまった用に替えの服を用意しているので、それを持って近くにある休憩用の小部屋へと向かった。

 私が服を着替え終われば、ヴィルフリートは暑いからちょうど良いと、そのままで過ごすことにしたようだ。

「……風邪ひきますよ?」

「ひくわけないだろ。こんなことで。お忘れかも知れないが、俺は身体が資本の竜騎士なんだぞ」

 ヴィルフリートは肩を竦めて、そう言った。

 私はやはり心配になったので、風邪薬となる薬草を採って、ゴリゴリとつぶしてから熱いお茶に入れた。

「はい。ヴィルフリート。風邪の予防に」

「うわ……まずそ」

 私がまたぐいっと差し出したので、ヴィルフリートは観念したようにほっと息をついて頷いた。そして、鼻を摘まんで覚悟を決めるとぐいっと飲み干していた。

「はい。よく出来ました」

 クスッと笑って私がコップを受け取ると、彼は急に真面目な表情になった。

「……ブライス。突然だけど、時は来たれりだ。明日の夜、城の舞踏会がある。そこで、あいつらと直接対決をする。やれるな?」