獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 ……せっかく育てたのだから、誰かの役に立って欲しい。けれど、手塩をかけて育てたのだから、少し胸が痛むのは仕方ない。

「……どうした。ブライス。ため息なんかついて」

 プランターに入れるための腐葉土の場所を動かす力仕事を手伝ってくれていたヴィルフリートは、額の汗を拭いながら近づいて来た。

 こんな温室の中でお風呂はどうするのだろうと思っていたら、彼は暑い時期は水で十分だと水やり用に引かれた水を豪快に浴びていた。

 そうね。やっぱり、ヴィルフリートは私とは全く違う生き物だと思う。

「いえ。この薬草は、そろそろ収穫時期なんですけど……これまで大事に世話をして来たので、なんだか胸が痛んでしまって」

 私は青々しい葉っぱを見て、正直な気持ちをこぼした。

「それは、そうだろう。今まで大事に育てて来たんだから……挨拶も声かけもたくさんしてもらったしな」

 ヴィルフリートが居るときはなるべく薬草たちと話さないようにしていたのだけど、無意識で声が出てしまっていたのかもしれない。

 顔にカアっと熱が集まった。

「そっ……それは!」