「被害者であるはずの彼女から、私は以前から多くの嫌がらせを受けていました。聖女の世話係として選ばれたフレデリックと婚約者であったことが、気に入らなかったようで……そして、ついには殺人未遂罪の濡れ衣を着せられ、私はフレデリックから婚約破棄を宣言されて、その結果、こうして国外追放になりました」
私の話を聞いたヴィルフリートは、何か変な物でも食べたような顔をした。
「うわ……なんだよ。それ。聖女の世話係だと何だとしても、婚約者の女性を優先することは当然の話だ。あまりにも酷過ぎるだろう。何かをやり返すことは、不可能だったのか?」
「……無理です。彼女は清らかで美しくて……私の目以外には、ひとかけらの悪意も感じさせぬ天使に映るのです」
整った顔にはけぶる長い睫毛に無邪気な微笑み、名工の手による磁器人形(ピスクドール)のように、うっすらと紅色に色づいた白い頬。
ああ……私だけにとっては、恐怖の対象だった可憐な聖女。
「いやいや、あまりにも酷すぎる。俺が代理で、その女に復讐してやろうか?」
ヴィルフリートは好戦的な表情を浮かべて、フロレンティーナへの復讐を私へと提案した。



