獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

「メロールは、人の言葉が……わかるんですね?」

 私は鱗の一枚一枚も識別出来るほどにこんな風に、竜を間近で見るのは初めてだ。大きな口がある恐ろしい顔をしているけれど、なんだか表情豊かで愛嬌がある。

 それに、何度か私のことを助けてくれたのだ。段々と好ましい存在に思えてきた。

 ヴィルフリートは私の疑問を聞いて、片眉を上げた。

「わかるよ。言葉がわからなければ、俺が騎乗することも難しいだろう。それに、俺のメロールは竜の中でも特別に賢い。そこらへんの人間なんかよりも、ずっと頭が良いんだ」

 ヴィルフリートは顔を近づけて自分に甘えるメロールを撫でながら、誇らしそうに言った。

 メロールが彼がいうほどに賢い竜であるかは、知識もないし付き合いの少ない私にはわからないけれど、ヴィルフリートが自分の竜メロールのことを気に入っていることは間違いなさそうだった。

「あの……ヴィルフリート。ごめんなさい」

 さっきヴィルフリートが敢えて話題を変えてくれたことは、私だって理解していた。涙を流した彼はきっと気恥ずかしかっただろうし、別に私にこうして謝って欲しいわけではないと思う。

 けど、ヴィルフリートはあの時に私を助けようとしてくれたし、それは今までも一貫して変わっていない。だというのに、私は何も悪くない彼に酷い言葉を投げつけたのだ。

 ヴィルフリートは複雑な感情が込められていそうな、大きなため息をついた。