獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 おそるおそる問いかけた私は、ヴィルフリートが無言のままで居ることが不思議だった。

 どうして、何も言わないのだろう。あんな馬鹿なことをした私を、思い切り罵ってくれた方が楽だとも言える。

 この……気まずい沈黙をどうにかしてくれるなら、いくらでもキツく当たってくれて構わないのに。

「……ブライスが自分のためではなくて、他の誰かのために生きているから。俺はもうここで何を言っても無駄だと思ったんだ。言葉を尽くしても何をしてもわかろうとしてくれないのなら、何か話すだけ無駄だろ」

 ヴィルフリートは焚き火を見ながら、淡々とそう言った。

 胸がキュウっと締め付けられるようだった。さっきまでの私が彼にとってどれほど酷いことを言ったのかと、まざまざと思い知らされた。

「そんなこと……!」

 そんなことはない。さっきは大きく動揺してしまって、浮かんだ言葉をそのまま投げつけるように接してしまったけれど、彼を傷つける事がしたかった訳でもない。

 何も悪くないヴィルフリートが、私のせいで指名手配犯にされてしまったことをどうしても、受け入れがたくて……とんでもなく馬鹿なことをしてしまった。