獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 素肌がひりひりとして、近くで火が燃えているあの感覚がしていた。

 パッと目を開けて映ったのは、近くに座るヴィルフリートと、身体を丸めた銀竜の大きな身体。そして、ゆらゆらと揺らめく赤い焚き火の炎。

 ヴィルフリート……川に落ちた私を、助けてくれたんだ。

 ……かなり、気まずかった。これから、何をどうしようかと考えた。私自身だって、あんな酷い醜態を彼の前で演じたかったわけでもない。

 半裸のヴィルフリートは横目で私が起きたことを確認はしたけれど、近くに置いてあった枝を一本折って焚き火に投げ込んだだけだった。

 何も言わない……当然のことかもしれない。

 だって、まさか助けたはずの私にあんな言葉を投げつけられるなんて、彼はまったく思わなかったはずなのだ。

 あれが、紛れもない彼に対する私の本音だった。それは、言われた当事者であるヴィルフリートだって、察していると思う。

 そうなの。私さえ居なければ、ヴィルフリートはフロレンティーナのことを好きになって、こんな風に指名手配犯になんてならなかった。

 水中に落ちて服は濡れてしまったはずだけど、私の服は何故か今は乾いていた。その理由を聞きたかったけれど、いまは聞けるような空気でもなかった。

 私は慎重に、上半身を起こした。地面の上に汚れないように敷かれていたのは、ヴィルフリートが着ていた白いシャツだった。

 それも……私のためにしてくれたことだった。

 どうしてだろう。ヴィルフリートは歯に衣着せぬ物言いが特徴で、何か言いたいことがあれば言うはずなのに。