誰もが愛する国民的スターは私だけを溺愛する

 女性の賞味期限は三十歳だと、誰かが言っていた。まだまだ先の話だと思っていたのに、気づけばあと三年しかない。その事実が、じわじわと胸を締めつける。

 そろそろ結婚、なんて未来をぼんやり描いていた矢先の浮気発覚。

 でも――

 あの時、素直に引き止めることができなかった私にも、問題はあったんだと思う。

 芸能マネージャーという仕事は、不規則で、休みも少なく、常に誰かの人生を背負っている。だから、どうしても忙しくなってしまうのはしょうがない。
 美咲とこうして顔を合わせるのも、気づけば三ヶ月ぶりだった。

 私たちは事務所の食堂で、冷めかけた定食を前に向かい合っている。

「……もういい。私は仕事一筋に生きてやる」

 事務所の食堂。冷めて脂の浮いた定食を突きながら吐き捨てると、向かいに座るの美咲が、呆れたように箸を止めた。

「えー、一生ひとりは寂しいって。結衣、本当は強がってるだけの寂しがり屋なんだから」

 図星を突かれ、胸の奥がチリリと焼ける。

 素直に甘える術も知らない私を、このまま丸ごと受け止めてくれる物好きな人間なんて、この広い世界のどこにいるっていうのだろう。

 逃げるように箸を動かした時、ふと、店内のテレビが視界の端で光った。

 画面の隅で躍る、華やかなテロップ。

 ――『最優秀主演男優賞』