放課後、校舎裏。
「初めて会った時、可愛くて一目惚れしたんです。付き合ってくれませんか?」
「……ごめんなさい」
緊張した様子で告白してくれた隣のクラスの有名人に、私は申し訳なさを滲ませて断った。
サッカー部エースで爽やか系イケメンの彼はとてもモテる。文武両道らしく、非の打ち所なんてないのだが、どうしてもだめなのだ。
悲しげに「そっか、時間作ってくれてありがとう」と去っていった彼の背中を見送る。それから小さくため息をつき、校舎裏の壁に凭れた。
〝可愛い〟
その言葉は、女の子なら貰って嬉しいものなのだろ
うか?
私だって、別に嬉しくないわけではない。ただ、幾度となく言われると「うん」としか言えない感情に襲われる。
涼風が髪を攫い、淡い色彩の毛束が宙を舞った。鬱陶しいと雑に撫で付けながら土埃で痛くなった目を鏡で確認した。
「(……かわいい)」
自惚れではなく、可愛い顔した人間が反射して映っている。
小鹿のような丸い目、縁取る長い毛、ぷっくりとした桃色の唇。家族からも、親戚からも、友人からも、「べらぼうに可愛い」と褒められまくってきた顔だ。
自覚を持たない方が可笑しい。



