トップアイドルは白衣の天使に恋をする

紗凪side

梓に陽貴君のことを相談してから数日

あの日言われた言葉が、今でも頭から離れない

――“それ、恋じゃん”



その二文字を思い出すだけで顔が熱くなる

でも仕事が始まれば、そんなこと考えている余裕なんてない

今日もICUは慌ただしかった

入室対応に、処置介助、術後管理

気づけばあっという間に昼を過ぎていた

「一ノ瀬さん、師長が呼んでましたよ」

記録を打っていると後輩に声をかけられる

「え、私?」

「はい、今ちょうど師長室いると思います」

何かあったかな

少し首を傾げながら師長室へ向かう

コンコン

「失礼します」

「はーい、どうぞ」

中へ入ると、師長さんは書類をまとめながら顔を上げた

「あ、一ノ瀬来た来た座って〜」

なんだろう

怒られる雰囲気ではない

少し安心しながら椅子へ座る

「単刀直入に言うね」

師長さんが笑いながら言った

「例のドラマの撮影、来週から本格的に始まるのよ」

心臓がドクッと鳴る

「正式にICUと救命も撮影入ること決まったので、一ノ瀬には引き続き現場指導お願いしたいんだけど、大丈夫?」

現場指導

つまり、実際の撮影中も近くで演技指導や動きの確認をするってこと、、よね??

少し考えた後

「……はい、私でよければ」

そう答えると、師長さんは安心したように笑った

「ありがとう〜助かる!佐野くん達、かなり真面目に勉強してくれてるみたいだし、一ノ瀬との相性も良さそうだったから」

「それとね」

師長さんが続ける

「サポートで林にも入ってもらうことにしたから」

「え?」

タイミングよく

ガチャッ

「失礼しまーす!」

扉を開けて入ってきたのは、林くん

「師長、呼ばれました!」

相変わらず大型犬みたいに元気だなぁ

「あ、ちょうどいい今話してたの」

師長さんが説明すると、林くんの顔が一気に明るくなる

「えっ、俺も撮影サポート入れるんすか?!」

「そう現場忙しくなるだろうし、一ノ瀬一人じゃ大変だからサポートしてあげてあんた勉強だけはできるからね」

「ちょっ、勉強だけって!失礼だな」

林くんのツッコミに思わず笑ってしまう

相変わらず師長さんは辛辣だなぁ、、


「でも超嬉しいっす!俺頑張りますね一ノ瀬さん!」

キラキラした目でそう言われて、思わず笑ってしまう

「ふふっ、こちらこそよろしくね」

そう返すと、林くんはさらに嬉しそうに笑った