トップアイドルは白衣の天使に恋をする

枕に顔を埋めて悶えていると――

コンコン、と軽くノックの音がした

「紗凪ちゃん、起きてる?」

「っ!!!!」

心臓が飛び跳ねる

来た

来てしまった

逃げ場は…うん、なし

「……は、はいっ!」

声、裏返った

恥ずかしいよ〜…

「入っていい?」

「えっ、あっ、はい……!」

一瞬の静寂のあと、ドアがゆっくり開く

「おはよ」

そこにいたのは、いつも通りの――いや、

昨日より少しラフな格好の陽貴くん

でも、

その“いつも通り”が逆に怖い

絶対、何か知ってる顔してる……!

「お、おはようございます……」

ぎこちなく頭を下げる

視線が合わない

いや、合わせられない

「よく眠れた?」

「えっ、あ、はい……」

眠れたも何も爆睡でした、

あなたのベッドで

あなたの家で

しかもノー……

思い出すな私ぃぃぃ!!

「そっかよかった」

ふっと優しく笑う陽貴くん

そのまま、ベッドの方へゆっくり近づいてくる

距離が、近い

「……っ」

自然と体が強張る

逃げたい

でも逃げ場がない

ベッドの上、完全に詰み

「顔赤いけど、大丈夫?」

そう言って、そっと頬に手が触れた

「っ!!だ、大丈夫ですっ!」

反射的に声が大きくなる

「ほんとに?」

くすっと笑われる

完全に、遊ばれてる

「もしかして……」

少しだけ顔を近づけて、

耳元で、低く囁かれる

「昨日のこと、思い出してる?」

「っ〜〜〜!!/////」

心臓が爆発するかと思った

「な、な、な、なにのことでしょうか……!」

目を逸らして必死に誤魔化す

すると――

「ふーん」

少しだけ間を置いて、

意地悪く笑う

「じゃあ、これは?」

そう言って、

ひょいっと持ち上げられたもの

視界に入った瞬間、

思考が停止した

「っ!!!!!!!!」

それは――

さっき見た、

綺麗に畳まれていた“それ”


「な、な、な、なんでそれを……!」

「なんでって」

さらっとした顔で言う

「洗濯機に入ってたから」

「〜〜〜〜〜っ!!!!」

終わった

完全終了

人生終了

ていうか薄々思ってましたけど彼、ドSで腹黒ですよね?

王子様ではなく閻魔大王様ですよね?

「ご、ごごごごごごごめんなさい!!!!」

勢いよく頭を下げる

「間違えて入れちゃってて!ほんとに!あの!その!」

言葉が追いつかない

顔はもう限界突破で真っ赤

そんな私を見て、

陽貴くんは――

「……うん、知ってる」

楽しそうに笑った

「紗凪ちゃんっぽいなって思った」

「うぅ……」

穴があったら入りたい(本日2回目)

「でもさ」

少しだけトーンが変わる

ゆっくり距離を詰めてきて、

逃げ場を完全に塞がれる

「気づいてたよ、昨日から」

「……え?」

一瞬、意味が分からなかった

「その格好」

「っ!!!!!!!!」

理解した瞬間、

時間が止まる

「だからさ」

耳元で、低く囁かれる

「よく我慢したよね、俺」

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!/////」

声にならない声が漏れる

もう無理

耐えられない

恥ずかしさで死ぬ

「紗凪ちゃん」

くいっと顎を軽く持ち上げられる

目を逸らせない

「無防備すぎ」

そう言って、ふっと優しく笑った

でもその目は、昨日の“オオカミ”のままだった