トップアイドルは白衣の天使に恋をする

チュンチュンチュン……

「ん〜……」

遠くで鳥のさえずりが聞こえる

まぶたが重い

……いま、何時……?

ぼんやりと目を開けると、

見えたのは――見慣れない天井

「……ん?」

一瞬、思考が止まる 

……あれ?

ここ……どこ……?

ゆっくりと体を起こして、周りを見渡す

シンプルで整った部屋

落ち着く香り

……でも、私の部屋じゃない

「……え?」

次の瞬間――

バッと体を起こした

「えっ、えっ、えっ?!?!?!」

心臓が一気に跳ね上がる

待って、待って、落ち着いて

昨日の記憶を、必死に引っ張り出す

えっと……

ディナーして、

雨降って、

陽貴くんの家に来て、

メンバーが来て、

寝室に隠れて――




……そのまま……




「……寝た?」



静寂



「……えっ、うそでしょ……」


顔から一気に血の気が引く

ここって……

ここって……

もしかしなくても……

「佐野陽貴の家……ですよね……?」

終わった

完全に終わった 

やばい

やばいやばいやばい

何してんの私

アイドルの家で爆睡とか正気?!

しかも初対面に近い距離感で?!

「無理無理無理無理……!」

頭を抱えたくなる 

その時、ふと違和感に気づく

……あれ?

なんか……軽い……? 

恐る恐る、服の中を覗く

「…………」

「〜〜〜〜っ!?!?!?/////」

思い出した

完全に思い出してしまった

私――

下着、つけてない

終わった(2回目)

「なにやってんの私ぃぃぃ……!」

恥ずかしさでその場に崩れ落ちそうになる

昨日、間違えて洗濯機に入れたんだった……

しかも上下セットで……

もうやだ

ほんとにやだ

穴があったら入りたい

むしろ掘って入りたい

「どうしよう……どうしよう……」

顔が熱い

というか全身熱い

陽貴くん、どこ……?

この状況で顔合わせるとか無理すぎる

無理無理無理

心の準備、1時間はほしい

いや3時間

いや一生

パニックのまま部屋を見渡すと、

ふと、ベッドの近くに視線が止まる

そこには――

綺麗に畳まれた、昨日の自分の服

そして

その上に、そっと重ねられた――

下着


「……」



「…………」



「………………」



チーン

音がした気がした

頭の中で、何かが静かに終わる音

これって……

これってつまり……

「見られてるよね……?」

理解した瞬間、

顔から湯気が出そうなほど熱くなる

「むりぃぃぃぃぃ……!!!!」

枕に顔を埋めて、無言で叫んだ