トップアイドルは白衣の天使に恋をする

 「さてと……紗凪ちゃんの服、シワにならないうちに畳むか」



服だけだし、さすがに許されるだろ。



そう思いながら洗濯機を開けて、中の洗濯物を取り出す。



その瞬間――



「……は?」



手の中に、あるはずのないものが混ざっていることに気づいた。



一瞬、思考が止まる。



……え?



なんで、これがここにある?



頭が真っ白になる。



いや、待て。



落ち着け。



状況を整理しろ。



……でも無理だろこんなの。



さっきまでの彼女の様子が、一気に頭の中で再生される。



妙に大きい服。



ぎこちない動き。



そして、あの時の――声。



「……まじかよ」



ぽつりと漏れた声は、かすかに震えていた。



点と点が、繋がる。



つまり――



俺はずっと……



「いやいやいや……それは、やばいだろ……」



思わずその場に座り込む。



でも同時に、変に納得してしまう自分もいる。



紗凪ちゃんなら、やりかねない。



焦って、そのまま全部入れたんだろうなって。



「……無防備すぎだろ……ほんと」




はぁ……と深く息を吐く。



もし、あのまま続いてたら。



もし、あの状況でこれに気づいてたら。



――絶対、理性飛んでた。



「……あぶねぇ……」



自分で自分に引くレベルだ。



寝てくれてて、本当によかった。



そうじゃなかったら、
きっと俺は止まれてない。



静かに服と、それを一緒に丁寧に畳む。



触れないように、でも雑にならないように。



変なところで気を遣ってる自分に苦笑しながら、



寝台の上にそっと置いた。



「……ほんと、勘弁してよ」



小さく呟く。



でもその声には、どこか優しさが混ざっていた。



そのままリビングに戻り、ソファに体を預ける。



今日はもうここでいい。



これ以上、近くにいたら――



「……無理だろ」



目を閉じる。



でも、



さっきの顔も、声も、感触も、



全部が鮮明に浮かんできて、



頭から離れない。








……案の定、

一睡もできなかった。