トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「ねえ紗凪ちゃん、今日は僕と一緒にディナーに行ってくれてありがとうね」

暖かくて、少しだけ優しい熱を含んだ声でそう言われて、顔を上げる

ブラウンの瞳がまっすぐに私を捉えていて、逃げ場がない

一気に顔が熱くなる

「わたしも……ありがとうございました
私なんかのために、貴重なオフの時間を使っていただいて……」

そう言った瞬間、彼の表情がすっと変わった

「私なんかって何?」

少しだけ拗ねたような、でも真剣な声

「僕は紗凪ちゃんとだから会いたいって思ったし、ご飯も行きたいって思ったんだよ
だから“私なんか”なんて言わないで」

真っ直ぐな眼差しに、思わず息を呑む

この人は本当に、どこまで人の心を揺らすのが上手いんだろう

優しさも、真剣さも、全部がそのまま伝わってきてしまう

「……ほんと、ずるい人ですね」

小さくそう言うと、彼はふっと笑った

「それ、褒め言葉?」

そのやり取りに、少しだけ肩の力が抜ける

――と思ったのに

「ってことで」

彼が楽しそうに目を細める

「さっきの発言した紗凪ちゃんには、お仕置き」

「えっ……?」

次の瞬間、脇腹に軽く触れられた

「っ……ひゃ……っ」

くすぐったさに思わず声がこぼれる

自分でも知らないような声に、一番驚いたのは私だった

慌てて口を押さえる

今の……何……!?

顔が一気に熱くなる

「紗凪ちゃん……?」

彼の声が少しだけ低くなる

「僕のこと、誘ってる?」

「ちが……っ」

否定したいのに、うまく言葉が出ない

空気が一瞬で変わる

「何も言わないってことは……そういうことだよね?」

さっきまでの柔らかい空気が、ゆっくりと熱を帯びていく

彼の目が、ほんの少しだけ深くなる

優しいのに、逃がしてくれない視線

気づけば、体の向きが変えられていて――

ソファの上、距離が一気に縮まっていた

「っ……」

心臓の音だけが、やけに大きい

ゆっくりと、彼の顔が近づいてくる

呼吸が、うまくできない

これ……だめ……

わかっているのに、目を逸らせない

そっと目を閉じた、その瞬間――











ピンポーン















空気が止まった