トップアイドルは白衣の天使に恋をする

ソワソワと落ち着かないままソファに座っていると、ガチャ、と扉の開く音がした

「……あれ?どうしたの?ソファでゆっくりしてていいのに」

振り返ると、そこにはお風呂上がりの陽貴くん

濡れた髪から雫が落ちていて、ゆるく羽織った服の隙間から見える引き締まった体に、一瞬で視線が吸い寄せられる

――ダメだこれ

目のやり場に困るどころじゃない

完全に“美の暴力”だ

心臓がさっきからずっと忙しい

しかも私は今――ノーパンである

…いや、無理でしょこの状況

冷静に考えれば考えるほど、ここにいる理由が分からなくなってくる

「……あのっ」

意を決して立ち上がる

「わたし、やっぱり帰ります……っ」

そう言ってカバンに手を伸ばした瞬間

ぐい、と腕を掴まれた

「え、どうしたの?なんか嫌なことあった?」

覗き込むような距離

心配そうな目

その優しさが逆に心臓に悪い

「い、いえ……長く居させていただくのも申し訳ないので……」

「もぉ〜全然いいって言ってるじゃん」

陽貴くんは少し拗ねたように笑う

「洗濯もまだ終わってないし、もう少しゆっくりしてて?」

少しだけ距離が近くなる

「それとも……僕といるの、嫌?」

その言い方がずるい

子犬みたいな目で見上げられたら、断れるわけがない

「い、嫌とかでは……っ」

――違う違う違う!

帰るんだって私!

心の中で自分を殴る

なのに体は言うことを聞かない

「よかった」

パッと笑った彼は、ソファをぽんぽんと叩いた

「こっちおいで」

「えっ……いや、その……」

ノーパンですなんて、言えるわけがない

言えるわけがないのに

「ほら、紗凪ちゃんはここ」

考えている間に腕を引かれる

「きゃっ……!?///」

次の瞬間

ふわりと体が浮いて――

気づいたら、彼の膝の上に座っていた

「え、え、え……っ!?///」

向かい合う距離

息が触れそうな距離

完全に思考停止

「早く座んないからだよ〜」

陽貴くんは悪戯っぽく舌を出して笑う

その無邪気さと、今の状況の破壊力がまったく噛み合っていない

「……っ///」

声が出ない

出したら終わる気がする

心臓の音だけが、やけに大きく響いていた